CD Side

 ■KA-YA

◆metalphobia 視聴してみる

金属が軋む音を聴くと、嘗て病院に通っていた時分を思い出します。

わたしはその密閉された部屋の椅子に座り、右手にはスイッチを握らされ、耳にはヘッドホンをつけられ、聞こえてくるノイズの中にリズムを探しながら――それも無駄な行為だとは分かっていたのですが――検査がはじまるのを待っていました。部屋は薄暗くて、それだけで気が滅入りそうになります。診察室はあんなに明るかったのに。目の前では看護婦が何らかの装置を弄っています。

やがて検査がはじまりました。わたしはヘッドホンから流れる無機質すぎる音に集中します。ヘッドホンの片側からは相変わらずのホワイトノイズが流れ続け、もう片方からうっすらと金属的な音が鳴っているようでした。その音が聞こえる度にわたしは機械的にスイッチを押し、看護婦はそれを確認して何かを書き取っています。片側のみ聞こえる信号音、信号音。音量が小さくなり、大きくなり、幾度か音色が変わり。そしてもう片側では白色の雑音が延々と流れ続けて。その繰り返しが幾度と無く続き、奇妙な浮遊感すら覚えはじめた頃に検査は終わるのです。

わたしはヘッドホンを外しました。ノイズはもうどこにもありません。延々と続くノイズの中に機械的な信号音が混じるだけ。それだけが、その瞬間のわたしに聞こえる唯一の音楽だったのです。



◆Hegemonie 視聴してみる

「はじめてのさうんどこらーじゅ」

 今日、わたしは、さうんどこらーじゅを作りました。さうんどこらーじゅは、今まで作ったことがなかったので、おかっと先生にならいながら、作ろうと思ったのですが、先生は「バイトです」と言って、あい手にしてくれませんでした。とても、かなしかったです。し方がないので、わたしは、ひとりで、作りました。
 できたきょくを、先生に聞いてもらおうと思ったら、先生は「バイトです」と言って、あい手にしてくれませんでした。とても、かなしかったです。かなしかったけれど、なきませんでした。そのかわり、少しだけ、おこりました。おこったので、できたきょくに女の人の声を、入れました。
 ちょっと、気分がすっきりしました。わたしはサティのきょくが、好きです。ピアノの先生に、聞いたら、長ちょうでも、たんちょうでもないような、ふ思ぎなきょくだと言っていました。ほかにも、へんなきょくがあって「犬のためのぶよぶよとした前そうきょく」というのが、あります。でも、聞いたことは、ありません。